スマホ使用で成績・学力が下がる (小中学生調査) 文部科学省,川島隆太

 


by Kārlis Dambrāns

スマートフォン(英: Smartphone、スマホ)とは、携帯電話機の一形態を指す用語。明確な定義はないが、多機能携帯電話であることが要件とされる場合が多い。

文部科学省のアンケートや、東北大学の川島隆太教授らの調査などによると、スマホの使用が学校の成績に悪い影響を及ぼしているという事が明らかとなりました。

以下は、スマホの使用と小・中学生の成績に関する情報を抜粋してまとめたものです。

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未成年への利用制限

スマートフォンの利用に伴って、ネット依存症、いじめ、見知らぬ者との出会い、生活の乱れの要因ともなりやすいため、各地域によって未成年への利用制限が進められている。

2014年4月には、愛知県刈谷市の全21校の小中学校で21時以降は利用禁止にする呼びかけを行った。
文部科学省はこれまで、小中学校への持ち込みを原則禁止するよう各都道府県教育委員会に通知。各家庭で事情に応じたルールを決めるよう内閣府などと冊子で呼びかけているが、文科省担当者は「地域で一律に使用時間の制限まで設ける試みは珍しい」としている。

出典 共同通信 2014/03/17
http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014031701001789.html

2014年8月には福岡県春日市でも同様で、22時以降は禁止となった。

出典 朝日新聞 2014年7月5日
http://www.asahi.com/articles/ASG745G14G74TIPE01W.html

2015年 LINE等を長時間使うと学習内容が消える? 東北大ら

2015年

通信アプリの使用時間と勉強時間、数学の平均点との関係
rbbtoday.com/article/2015/03/20/129647.html

仙台市教育委員会と東北大学による「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」は19日、“平日にLINE等の無料通信アプリを使用すると、睡眠時間や家庭学習時間には関係なく、使用時間に応じて学力が低下する”とする調査結果を発表した。

同プロジェクトでは、仙台市標準学力検査の成績と、子ども達の生活習慣やさまざまな生活環境の関連の解析を行っており、2013年度は、本プロジェクトの成果として「スマホや携帯を長時間使用するといくら勉強していても成績が下がる」という結果を得ている。

2014年度は、LINEやカカオトークなどの通信アプリの影響についても質問項目を加えて、通信アプリの使用時間と勉強時間、数学の平均点との関係を分析した。それにより、学力低下は、アプリを使ったことによる直接の効果である可能性が高いことを発見したという。

「平日に30分未満しか勉強しない」生徒の場合、通信アプリを使わない(スマホや携帯を持っていない)生徒の数学の平均点は約61点だが、3時間以上使う生徒の数学の平均点は50点以下に急激に低下していた。そのため、勉強時間にかかわらず、「通信アプリの使用時間が長くなるほど生徒たちのなかから、学校で習得した学習内容が消えてなくなった」と考察。「分析を行った研究チームとしても、非常に衝撃的な結果」だとしている。

同プロジェクトでは、今回報告した分析も含めて、一連の研究活動を現在も継続中。

出典 RBBTODAY 2015年3月20日
http://www.rbbtoday.com/article/2015/03/20/129647.html

2014年 スマホの使用時間が増えるほど成績が低下する

2014年

スマホ使用で成績が下がる 東北大
pastapregonapa.com/mobile-app

文部科学省が学力テストと併せて行う児童生徒へのアンケート調査結果によると、今回初めてスマホなどの平日の使用時間を尋ね、生活のかなりの時間を割いている実態が浮き彫りになりました。中学3年生の半数近くが1日1時間以上携帯電話やスマートフォンでメールやネットをし、4時間以上費やす生徒も1割を超えています。小学6年生の半数以上が携帯やスマホを使用していることも判明。学力テストの平均正答率と比較すると、小中全教科で、使用時間が増えるほど成績が低下する「スマホ学力低下現象」傾向が見られました。

出典 一般社団法人 全国教育問題協議会 2014年8月26日
http://www.zenkyokyo.net/survey/313

2014年 「スマホ1日1時間以上」で子供の成績が下がる! 中学生2万4000人調査が証明

ゲームソフト「脳トレ」の監修をした川島隆太教授らが中学生2万4000人のデータを基にまとめた調査結果。この調査は、昨年度、宮城県の仙台市教育委員会と東北大学加齢医学研究所が共同で行ったもの。

長時間勉強してもスマホをやり過ぎると、勉強の効果がなくなる傾向がある

川島隆太教授
結果が出るまでは、長時間勉強している生徒は多少の差はあっても、成績上位層にいると予想していました。長時間勉強している生徒のスマホの利用時間は少ないと考えていたからですが、中にはスマホを長時間使用する子もいました。すると、いくら長く勉強してもスマホをやり過ぎると成績が落ちるという結果が出たのです。予想外の結果に私たちも目を疑いました

子供のスマホに悩む保護者の声

スマホ中毒

①仙台市に住む自営業のAさんが仕事から帰る夜9時頃、中学2年生の娘は決まってリビングのソファにもたれながら、スマホを凝視していたという。

Aさん
「娘は中学生になった頃からスマホ漬けになっていきました。1日2~3時間はLINEをしたり、イヤホンをしてジャニーズの動画をYouTubeで見ている。私が帰ってからの会話はほとんどなくなり、成績も下がりました。それまで90点取れていた国語のテストも70点台にまで落ちました。見かねてスマホの使い方を注意し続けたのですが、『わかった』とその場しのぎの返事ばかりで一向に改めようとしない。数カ月間そんな状態でしたので、とうとう昨年末に解約してしまいました」

②千葉県の主婦・B子さんは、「息子の人生はスマホに狂わされた」と口にする。

B子さん
「勉強と部活の時間配分を自分でうまくコントロールしていて成績も安定していたので、志望校への推薦も確実と思っていました。それで中3の夏休みにスマホを買い与えたのですが、見事にスマホ中毒になりました。目を血走らせながらスマホを手にし、お風呂にまで持ち込む有様で、偏差値が10近く下がる教科も出てきました。担任の先生から推薦は無理だと断られ、第2志望の高校も受からず、結局、今春から第3志望の高校に通っています。スマホを与えたことを、今とても後悔しています」

この数年、未成年のスマホ所有は急速に増えてきている。昨年度の内閣府の調査によると、中学生のスマホ・携帯電話の所有率は5割。しかし多くの中学校教師にとって、地域差はあるものの「所有率は6~8割で、そのほとんどはスマホ」というのが実感だという。

山梨県の公立中学校の教師の話

「保護者から『スマホをやめろと言ってもやめない。どうすればいいのか』という相談を受けることは珍しくありません。子供のスマホに頭を悩ませている保護者は本当に多い。使用時間の聞き取り調査を行っていますが、1日7時間以上と答える生徒が全学年にいました。私が調べたところ、スマホを1日2~3時間使う生徒の試験の点数は、平均的に8点ほど下がる傾向にありました

 子供の成績とスマホの関係については、保護者や教師の間でよく話題になるというが、実際のところ、どれほど影響があるのかはわかっていなかった。その答えとなるのが、前述した川島教授らの調査結果だ。その驚くべき結果について、川島教授が語る。

勉強時間が長くても学力が下がる傾向

2014年

携帯・スマホ使用時間と学力テストの平均正解率
http://www.zenkyokyo.net/survey/313

「これまで、成績が悪い生徒は『スマホを長時間いじっていて勉強の時間がないから』と考えられてきました。ところがまったく違う結果が見えてきたのです。つまり、家でちゃんと勉強している生徒でも、スマホを使う時間が長ければ、家で勉強しない生徒よりも学力が下がっている傾向が統計的に表れたのです

スマホや携帯電話を使う時間ごとに見た数学の平均点
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/4258?page=2

上のグラフは数学の成績をまとめたものだが、1日1時間以上スマホを利用すると、成績が下がる傾向が見て取れる。

2時間以上勉強してもスマホを4時間以上使っていると、勉強は30分未満だがスマホの利用時間が1時間未満の生徒の方が平均点が高いという結果が出たのだ。この傾向は数学で最も顕著に表れたが、国語、理科、社会、英語の4教科でも、同様の傾向が出ているという。

この調査は、仙台市の市立中学生約2万4000人に対して行われた「仙台市標準学力検査」と「仙台市生活・学習状況調査」をもとに分析された。いずれも毎年4月に行われるものだ。

勉強時間が長くてもスマホを長時間使うと成績が落ちるのはなぜなのか。

 川島教授はこう語る。

「スマホを使っている時の脳の働きを調べたデータがないため、まだ仮説の段階ですが、私は次のように考えています。

テレビを見たりテレビゲームをしている時、脳の中の前頭前野という部分は安静時以上に血流が下がり、働きが低下することが分かっています。また、ゲームで長時間遊んだ後の30分から1時間ほどは前頭前野が麻痺したような状態となり、機能がなかなか回復しません。この状態で本を読んでも理解力が低下するというデータもあります。また、テレビの長時間視聴を3年続けた5~18歳の子の脳をMRIで解析すると、前頭前野の思考や言語を司る部分の発達が、長時間視聴していない子に比べて悪くなる傾向がこれまでの研究で確認できています。

つまり、スマホを長時間利用することは、ゲームで遊んだりテレビを長時間視聴した後の脳と同じような状態になって、学習の効果が失われるのではないかと考えられます。

前頭前野の具体的な働きは、記憶する、学習する、行動を抑制する、将来の予測をする、コミュニケーションを円滑にするなど、人間ならではの心の働きを司っています。

今回の調査では生徒がスマホをどのように使っているのかまでは調べていませんが、ゲームやLINE、YouTubeで動画を視るなどの使い方が多く、勉強の調べ物で使う機会はわずかでしょう。ですからスマホの長時間利用が脳に与える影響は、これまでの脳の研究データが示すストーリー上にあると考えても外れていないと思うのです。

また、一般的には睡眠不足が学習の妨げになると考えられます。しかし今回の調査では、睡眠時間に関係なく、寝ている子も寝ていない子も、スマホを長時間使っている子が点数を下げていました。現在、これらの分析を学術論文にまとめており、今後、もう少し詳細な情報を伝えることができると思います」

大人のギャンブル依存より深刻

 川島教授
「グラフを見ると分かりますが、スマホの利用時間が1時間未満と答えているグループの平均点は、スマホをまったく利用しないグループよりも点数が高い。恐らく、気分転換や息抜きの道具としてスマホを上手に使うことができれば、良い作用をもたらしているのではないかと考えられます。ですから、今回の教訓は、『スマホを使うな』ではなく、『長時間利用のリスクを知った上で使うべき』ということだと思います。

ただ、子供を取り巻くスマホの環境は決して良くありません。中毒的にスマホをいじっている子供たちの問題は、大人のギャンブル依存よりも深刻になりつつあると感じます。楽しいものや快楽を得られるものに弱いのが人間です。今は小学生もスマホを持つ時代ですが、それは子供がパチンコ屋に公然と出入りすることを許されているようなものです。子供は簡単に依存状態に陥りますから

スマホ中毒

川島教授
「スマホを使いすぎると子供の脳にどのような影響があるのか。私はこの研究にあまり時間をかけてはいられないと考えています。いま、電車の中では大人もみなスマホをいじっています。窓の外で桜が咲いていることにも気づいていないのでは、と思うほど画面しか見ていません。最近では、授乳中の赤ちゃんと目も合わせずにスマホをいじる母親も増えています。赤ちゃんは母親と目を合わせることで感情表現を学ぶと言われており、成長期に母親と目を合わせずに育ってしまえば、発達にも影響があると危惧されている。大人のこうした様子を見て子供もどんどんスマホ依存に陥っていくのです。今回の結果は、スマホの長時間利用の規制を真剣に考える時期にきていることを示唆しているのではないでしょうか」

出典 週刊文春 2014.08.18
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/4258

要点まとめ

  • 平日にLINE等の無料通信アプリを使用すると、睡眠時間や家庭学習時間には関係なく、使用時間に応じて学力が低下する。
  • スマホ1日1時間以上で子供の成績が下がる。
  • 家でちゃんと勉強している生徒でも、スマホを使う時間が長ければ、家で勉強しない生徒よりも学力が下がっている傾向が統計的に表れた。
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