[デマ拡散] 無関係の人がネットで犯人,関係者扱いされた事件

 

無実の人がネットで犯人や事件の関係者というデマを広められた事件のまとめです。

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2019年 常磐道煽り運転事件「同乗の女」

常磐道煽り運転事件
茨城県守谷市の高速道路で、あおり運転をした後に、相手の車を無理やり停車させ、運転していた男性を殴り、けがを負わせた事件。この事件で大阪市の会社役員の男性(43)と車に同乗していた女性(51)が逮捕された。
※あおり運転とは、走行中に、他の特定の車両に対して、故意に運転を妨害したり威圧したりする行為。

Aさんは、あおり運転事件で車に同乗していた女性(51)がAさんであるというデマを、匿名掲示板「5ちゃんねる」やSNSサイト「Twitter」などで拡散され、誹謗中傷を受けた。

被害女性Aさんの話
「早朝起きたら名前と写真がインターネット上に流出していて状況が読み込めず、どうしてこうなっているのか、また今後どうなるのか分からずパニック状態だった。友人の弁護士の人に相談させていただいたが、現実にこんなことが起こるのか…」と恐怖体験を語った。 

8月16日にあおり運転をした男性が指名手配され、氏名が明らかになった後から、Aさんのインスタグラムには「さっさと自首した方が身の為」「ガラケーババア!」など罵詈雑言が書き込まれ、Aさんが代表を務める会社には8月17日だけで280件の電話が殺到した。

Aさんの弁護士は声明を出し、「事実無根で法的措置も検討する」としている。

2019年 東池袋自動車暴走死傷事故「息子」


出所 asahi.com/articles/ASM4M4H0QM4MUTIL01C.html

東池袋自動車暴走死傷事故
東京・池袋で2019年4月、旧通産省工業技術院院長だった飯塚幸三氏(87)の運転する乗用車が暴走し、10人が死傷した事故。

デマ1
運転していた飯塚幸三氏の息子が「安倍晋三首相の政策秘書だった」というデマがネット上で拡散。

デマ2
クボタの執行役員の飯塚智浩氏が「息子」というデマが拡散。クボタは4月22日のプレスリリースで「元副社長の飯塚幸三氏との間に縁戚関係等はありません」と否定。

2017年 東名高速あおり運転事故 「容疑者の勤務先」


出所 youtube.com/watch?v=46V6rVWr8a0
※あおり運転をした車に乗っていた女と男(赤と青)、左から2台目のワゴン車の中にいるのが萩山さん一家計4人(緑)

東名高速夫婦死亡事故
2017年6月、神奈川県大井町の東名高速道路であおり運転を受けて追い越し車線に無理やり停車させられたワゴン車にトラックが追突し夫婦が死亡した事故。

起訴状によると、被告(あおり運転をした男性)は2017年6月5日夜、事故現場約1.4キロ手前のパーキングエリアで萩山さん(死亡した男性)から駐車位置を注意され逆上。萩山さん一家のワゴン車を追いかけ、妨害行為を繰り返して追い越し車線に停車させた。そこに大型トラックが追突し、萩山さんと妻を死亡させ同乗の娘二人に軽傷を負わせたとされる。

2017年10月、加害者(あおり運転をした男性)の逮捕直後、加害者の名字、住所、職業から、インターネット上で親族や勤務先を特定する動きが起きた。加害者の名字が「石橋」で福岡県の建設作業員であったことから、関係のない「石橋建設工業」の社長を「容疑者の父」、同社を「容疑者の勤務先」とするデマがインターネット上で広がった。このデマにより建設会社に抗議や嫌がらせ電話が殺到し、一時休業に追い込まれた。

福岡県警はこの偽情報をネットで広めたとして11人を摘発した。

※摘発された人たちは、デマをツイッターや掲示板サイト「5ちゃんねる」(旧2ちゃんねる)などに投稿したり、転載したりした。

2019年2月

「神奈川県の東名高速で2017年に起きたあおり運転事故に絡んだデマをネット上に書き込まれたとして、石橋建設工業(北九州市)の石橋秀文社長(48)が来週にも、男性ら8人を相手取り、計880万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁直方支部に起こす。代理人弁護士への取材でわかった。デマにより会社は休業を余儀なくされ、精神的苦痛を受けたなどと訴える。」

2019.2.28 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASM2X4S37M2XTIPE016.html

2010年 札幌連続女性暴行事件「容疑者の実家」

札幌連続女性暴行事件
2010年8月23日に札幌で発生した連続女性暴行事件で強姦致傷容疑で逮捕された男と同姓の江別市の不動産業者が、インターネット上の掲示板などで「容疑者の実家」と事実無根の内容の書き込みをされ、書き込みを信じた人達から抗議が殺到した事件。

北海道新聞 2010.9.4
https://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/249520.html

「被害にあったのは江別市上江別西町の外山不動産。容疑者とは血縁関係は一切ないが、逮捕時の報道で容疑者が「札幌市内の不動産管理会社に勤務」との記述があったことから、何者かにネット掲示板で一方的に結び付けられ「容疑者の実家」として名指しされた。この書き込みが他の掲示板や個人ブログなどに転載され、事実であるかのように広まった。

外山美喜雄社長(60)が異変に気づいたのは8月26日。それまでも数件「お宅と関係があるのか」との問い合わせがあったが、この日は「抗議電話」が立て続けに鳴り、そのうちの一人が「こんな事件を起こしてよくも恥ずかしくないな。ネット掲示板にお宅の息子と書いてあるぞ」と一方的に罵倒したからだ。同様の趣旨のメールも送られてきた。

すぐに長男の常務がネット検索すると、既に書き込みは数十件に増殖。その都度、削除要請や「当社は全く関係ありません」とのコメントを投稿したが、地元でも話題になりはじめ、娘が知り合いから「容疑者はお宅の弟なんだって。ネットで見たよ」と連絡を受けるなど家族にも被害が出始めた。」

2010.9.21 北海道新聞
「札幌連れ去り事件 容疑者と「同姓」会社にネット中傷 江別署が捜査」
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/252140.html

「同社(外山不動産)は無関係にもかかわらず、掲示板などに「容疑者は外山不動産の息子」などと、繰り返し書き込まれた。書き込みは事件直後から始まり、同社は、取引先などから問い合わせが相次いだため、江別署に相談した。外山社長は「名誉回復のチラシ作成などで200万円以上かかった。事実無根で許せない」と話している。」
※10万枚の打ち消しチラシを配布、業界団体も文書を出すなどした。

2010.9.13 北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/250823.html

電話の一部を録音した内容。

「電話は8月26日午前11時半にあり、応対に出た社員に対し「社長を出せ」の一点張り。社長に代わると「こんな事件を起こしてよくも恥ずかしくないな。ネット掲示板にお宅の息子と書いてある」と話し、容疑者と無関係との説明を聞いても延々抗議を続けた。異変を察した長男の常務が機転を利かせて途中から録音。抗議してきた相手は女性とみられる。

社長「インターネットのどこで見ましたか」
女性「いや、●●(ネット掲示板の名称)の」
社長「●●でしょ。それ違いますから。今、違いますからというのを(削除要請を)流しましたので」
女性「うん、それはあなたが違うといっても、その証拠が出ないと。息子さんが1人なのか2人なのかも分からないし」
社長「じゃあ、調べるなら、調べて下さい」
女性「(声を荒げて)いや、調べて下さいじゃなくって。ネットではそういうことになっちゃってるから。あなたの息子さんって。それを、私が、あなたは違うっていうけど、私があなたの言い分を信じることもないし。インターネットではそういうことに特定されちゃってるから。あなたのホームページが『こいつ(容疑者)の父親だ』という風になっちゃってるから」
社長「うちではありませんから」
女性「は?」
社長「うちではありません」
女性「それを、あなたが言ったって、私は信じることが出来ませんから」
社長「なにか、うちは(仕事の)取引してるんでしょうか? お宅と」
女性「は?」
社長「うちと取引があるんでしょうか」
女性「別に取引してないですよ。取引してなかったら、電話にも答えたくないんですか」
社長「いいえ、そんなことないですよ。調べるなら調べて下さい。うちはそう言うしかありませんから」
女性「いや、私が調べるとかじゃなくって。(かなり興奮して、一語一語区切りながら)あなたが、危機的状況に、陥ってるだけですよ、本当に。本当に違うならね」
社長「違いますよ。どうしようもないですよ、これは。だって、違うっていっても信じてもらえないんなら。うちは間違いなく違いますから。むしろ迷惑しているんですから」
女性「違う、違うっていわれたってしょうがない。それはネットでそういう風に書かれたら」
社長「じゃあ、どうすればいいんですか? あなたは何が知りたいんですか」
女性「確認をしようと思っただけです」
社長「どうぞ確認してください。うちは違うんですから」
女性「あなたは違うっていってるけれど、証拠があるわけでもなんでもないですよね! 違うっていう証拠が」
社長「じゃあ、どうすればいいんですか。どうすれば理解してもらえるんですか」
女性「いや、それはあなたが考えればいいんじゃないですか。社長なんだから。何で、私が考えなきゃいけないんですか。別に私、関係者でも何でもないのに。ただ、興味本位に電話しただけなのに。何で私が考えなきゃならないんですか」
社長「興味本位で面白がって電話されるのは迷惑ですね。うちは違うんですから」
女性「…。(沈黙の後、声を低めて)あのね、頭大丈夫?」
社長「へ?」
女性「頭大丈夫? ○○な事件だからこういうことになるんだって」
通話はさらに続き、女性の「抗議」もエスカレートしていく。」

2011.1.13 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110113-OYT1T00860.htm

「北海道警は13日、静岡県富士市にある小学校の非常勤講師の男を信用毀損容疑で札幌地検に書類送検した。発表によると、男は2010年8月25日、女性2人が死傷した事件について、自宅のパソコンを使い、ブログに 「犯人の親は江別市の不動産会社経営です」などと事実無根の話題を書き、同社の信用を毀損した疑い。男のブログには約50件の書き込みがあり、道警は、男のブログが発端で中傷が広がった可能性があるとみている。」

1999年 スマイリーキクチ誹謗中傷事件、2009年に一斉検挙


出所 youtube.com/watch?v=iNl93368t0M

スマイリーキクチ誹謗中傷事件
お笑いタレントのスマイリーキクチ(菊池聡)が女子高生コンクリート詰め殺人事件(東京都足立区綾瀬、1988~1989年)の犯人だというデマをインターネットの匿名掲示板で広められ、1999年頃から誹謗中傷され続けている事件。

インターネットにおいて、1人の人間に対して誹謗・中傷をした複数の加害者が、一斉摘発された日本で初めての事件。
2008年9月から2009年1月までに、キクチに対して中傷書き込みを行った犯人の身元を特定し、最終的には特に書き込み内容や犯行回数などが明確に刑法に反していると判断された計19人の中傷犯が検挙された。

2009.2.6 朝日新聞 スマイリーキクチのブログ炎上19人検挙
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009020501000202.html
「お笑いタレント、スマイリーキクチ(37)のブログに、本人が過去の殺人事件の犯人であるかのような中傷や脅迫文が数百件書き込まれる事件があり、警視庁中野署は5日までに、17~45歳の男女計18人を名誉棄損の疑いで書類送検する方針を決めた。また、脅迫容疑で川崎市の会社員の女(29)を書類送検した。」

面白半分で中傷コメントを書いた1人を除き、犯人のほとんどはネット上で流布されていた殺人事件関与説を信じていた。
取り調べをした刑事たちは中傷犯たちの雰囲気を「どこにでもいる、おとなしそうな感じ」と評し、キクチも警察から見せられた中傷犯たちの顔写真から「怪しい目つきの2人を除き、どこにでもいる普通の人」という印象を持った。

■スマイリーキクチが犯人の可能性はないのか?

キクチと事件が無関係であることは警察によって証明されている。
担当刑事が女子高生コンクリート事件に関する資料を取り寄せ、犯人グループ及びその仲間に「きくち(菊池・菊地)」という名前がないことと、出所後に芸能界入りした者が犯人にいなかったことが確認されている。

次のページは、スマイリーキクチ誹謗中傷事件の10年間の経緯についてです。

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